僕の中では、まだ摩訶不思議な「SPAORE(スパオール)」ですが、いったいどういう経緯で開発されたのか気になり、開発秘話も聞いてみました。
映画関係雑誌の編集者を経て、通信系の会社へ転職していた小池さん。新サービスの開拓で新ビジネスを探していた時に、友人から紹介されたのが、穀物炭だけで出来たパフォーマンスがアップする素材でした。
ただ、マーケティングがうまくいってないので、ほとんど売れずに、自分の勤める会社でも畑違いで扱うことができない状態でした。
だったらと、独立創業した小池さん。会社名の「ナチュラルアビリティ」の意味は、薬や化学物質、大掛かりな機械に頼らず、「人間本来の力」潜在能力を発揮させることで、健康で快適な生活をサポートする会社を目指したいと名付けました。
まず始めたことは、単なる穀物炭が、なぜこのような効果があるのかの解明でした。しかし、効果測定はできても、メカニズムの解明までには至らなかったのです。
しかも、この素材を発見した開発者が製法を残さずに急死してしまい、完全にロストテクノロジーになってしまいます。
このままでは、商品開発ができないとなったその時に「ホルミシス効果」の研究者との運命の出会いがありました。
ホルミシス効果というのは、ラジウムなどの鉱石が発する電磁波を微弱に抑え、コントロールすることで身体の活性化をさせる効果があり、大昔から湯治で使われているものでした。
こうした鉱石群を上手に使えば、「失われた不思議な穀物炭」と同じものが作れると示唆され、開発に取り組むことになります。
前述の研究者からアドバイスをもらいつつ、様々な鉱物を選び、産地を変え、割合を変えて配合するという手作業を繰り返し、ようやく確実な効果を得られるレシピが完成しました。それが、現在の『スパオール』です。
当初、『スパオール』はストレス脳波を抑制するリラクゼーション素材として配合されていましたが、各種の性能試験を行い、体幹・重心の安定効果を発揮することがわかってきます。
そこで小池さんが選択したのが「高齢者の転倒リスク軽減」というテーマです。『スパオール』に体幹・重心安定効果があるとわかった以上、転倒防止をテーマに据えるのは当然のことだと小池さんは思いました。
会社を設立した葛飾区「高砂」は、寅さんの故郷、柴又の隣町で非常に高齢者の多い地域です。バスに乗れば、乗客のほとんどは高齢者、街を歩いていて目に入る人の多くは高齢者、といった具合。
さらに、転倒、転落による死亡事故は交通事故のそれよりも2倍以上も多く、また、救急搬送される高齢者の90%近くが転倒転落による怪我であるというデータもあります。
そのリスクを軽減することは社会的意義が非常に高いということもありました。
転倒リスクは立って歩いている時間、すべてで生じています。例えば、転倒防止シューズを履いていたら、その時間はリスクが小さいでしょう。
しかし、四六時中、履いていられるわけではありませんし、一年中、その靴で外出することもできません。そうした環境を考慮したうえで開発したのは「履物を選ばない転倒防止インソール」です。
どんな靴でも対応できるのはもちろん、スリッパやサンダル、果ては草履や下駄であっても対応できるインソールは何か?厚さや凹凸があっては使えない履物がある。そもそもスリッパやサンダルに使える既存のインソールはほとんどない。
答えは「厚さ1ミリのシート型」というものでした。これが、現在の「転倒防止用/体幹安定インソール スパオール」なのです。
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